monoTone
「…ヒロの居場所、掴めた」
「ほんと?」
「あぁ」
京介から、そのような報告をされたのは、あ
れから一週間後。
結構早く情報が集まったみたいだった。
「さて…ヤスに、どう伝えよう」
「…行きてぇっつーのか?」
「素直に言えれば…ね」
ヤスに言ったら、ヤスは素直に、行きたいと
言えるのだろうか。
それが問題だよね…
「もういい!!あたし、真っ正面から以外、で
きない!!そのまま話してくる!!」
「おいっ!!ちょっ…日向!?」
珍しく京介が困ってるみたいだけど、関係な
い。
「ヤス!!」
「あ?」
徠斗と遊んでいたヤスが、あたしの声に振り
返った。
そこには、美月もはる君もいて、この状況で
大きな声で言うのは悪いと思ったから、ヤス
を呼び出した。
あんまりノリ気ではなかったけど、ついてき
てくれたから、この前の場所に連れてきても
らった。
ヤスが…大切にしている、あの場所。
ヒロとよく来ていた場所。
だから、ここなら…素直になってくれると思
ったの。
「ヤス、あのね?」
「んだよ。いきなり呼び出して、ここ連れて
来いとかよ。何の用だよ」
「京介に頼んで…ヒロの少年院、調べてもら
ったの」
「…あ?」
「行こう、ヒロに会いに。あたしも一緒に行
くから、会いに行こうよ」
「…バカか、お前」
「バカだよ、あたし。でも、あたしの言って
ること、間違ってないでしょ?」
「ふざけんな。俺とヒロが、会えるはずねぇ
だろ」
「会えるよ。会いたいんでしょ?」
「……………会いてぇに決まってんだろ」
「じゃあ、会いに行こう」
「んな単純な話じゃねぇのくらい、てめぇの
バカな頭でもわかんだろうが」
「行くよ、あたしは。あたしは、ヤスが行か
ないって言っても、会いに行く。ヤスが、ヒ
ロのこと、大好きですって言いに行く」
「バカか、てめぇ」
「じゃあ、バイク借りてくね」
「はぁ!?」
「あたし、バイクの運転は初めてだな~。事
故、起こしちゃったらどうしよ~。あっ、そ
の前にあたし、免許持ってないんだった」
「てめっ…バカ、やめろや!!」
バイクに股がりかけたあたしを、ヤスが止め
る。
「じゃあ、連れてって?連れてってくれるだ
けでいいから」
「んなもん、京介に頼めよ!!」
「京介に頼んだら、他の男に会いに行くの、
許してくれると思う?」
「…無理だな」
「じゃあ、連れてって!!」
「連れてくだけだからな!!」
ヤスを無理矢理バイクに乗らせて、教えても
らった少年院に連れていってもらう。