monoTone
「湊」

「えっ?」

「湊が俺を助けてくれたから」

「京介が…?」

「あいつ、俺が頭打ちつけてる時、逆に殴っ

て、止めてくれた」

京介…ここにも、先に来てたんだ。

じゃあ、あの時、情報を集めるのが早かった

のは、既に知ってたから?

じゃあ、あの1週間は、何のため?

「湊は…自分で殺ったって、痛くねぇ。自分

じゃねぇ奴に殺られるから、痛ぇんだって、

俺を殴った後に言った」

「京介…」

あんた、どんだけ優しいのよ。

「あの後、湊はすっげぇここの奴に怒られて

たけど、湊はここにいる俺と同じ境遇の奴ら

に人気で、あいつが来るの、みんな楽しみに

してんだ」

「そうなんだ」

「だから、彼女さん。今度は湊も連れてきて

ね」

「わかった」

「あと、ヤスにもよろしく」

「うん。ねぇ…ヒロ?」

「ん?」

「今度、あたしの買い物付き合ってよね」

「うん。早く、ここから出られるように頑張

るよ」

「またね」

「うん。また」

そう言って、あたしとヒロは別れた。

その後、あたしはヤスと、新しいアイス屋で

アイスを食べていた。

ヤスは…とてもスッキリした顔をしてた。

「ここのアイス、美味しいね」

「アイスはどれも、うめぇんだよ」

「あはは。わかったって~」

二人共、スッキリしてた。

アイスを頬張っているあたしたちのいた店内

は、何だか騒がしくなってきたと思ったら、

女の子の集団がいた。

「あ~、うるさい」

あたしが怒ったようにそう言って、ヤスを見

ると、ヤスは眉間にシワを寄せて、あの女子

の真ん中にいた女を睨んでいた。

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