monoTone
「ヤス、知り合い?」

「……………あん時の女だ」

じゃあ、ヒロとヤスの仲を壊した女って、そ

ういうことだよね…?

「えっ?何でまだ、高校生?」

制服を着てるあの女たち。

「…留年したんだろ」

「何それ。意味わかんない」

あたしたちがいるのに気がつかないのか、ま

だ騒いでいる、あの女。

「…チッ」

そう言って立ち上がったヤスは、あの女に向

かっていく。

あたしも急いで、ヤスについていく。

「…おい」

女に声をかけたヤスは、すごい表情で、女を

睨み付けていた。

「あっ!!もしかしてヤス?久しぶり~!!」

「あ?」

「何そんなに怒ってんの~?」

その言葉にキレたヤスは、手を挙げた。

「ヤスッ!!」

「あぁ?」

止めたあたしに、怒りの表情を向けるヤスは

もう…本気だ。

男も女も、関係ないみたい。

「ヤス、男は女を殴っちゃいけないんだよ。

だから、ヤスは殴っちゃダメ」

「あ?てめぇ、俺のこと知っといて、何言っ

てやがんだ。俺はこいつを殴る」

「何、この子。うわ~、超チビ。ブス~」

あの女があたしを罵った瞬間に、取り巻きか

ら笑い声が上がる。

「…ヤスは男だから、殴っちゃダメ」

だけど、だけどね?

「あたしは女だから、あたしは女を殴っても

いいの」

「はぁ?あんた、頭大丈夫?」

…もう無理。

渾身の力を込めて、女を殴った。

女の子らしく、手を広げて…なんて、殺って

やるわけもなく、あたしは拳を握り、思いっ

きり飛ばした。

シーンと静まる店内。

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