monoTone
「言っとくけど、あたしは、スポーツには自

信があるの。ボクシングも、空手も、合気道

も経験あるの」

邪魔だった長い髪を、後ろに流す。

「あたし、あなたよりは頭良いから。あたし

の制服見てから、人の頭の心配しなさい」

あなたの制服は、バカな学校の制服。

あたしの制服は、有名私立の制服。

「…それと」

「まだ…何かあるわけ?」

負け犬の遠吠え。

まだ話せる元気があるみたいね。

「あたしにチビは禁句。あと、あたしはあな

たよりブスだとは思わない。何なら、今この

瞬間に、鏡をお貸ししましょうか?」

「結構です!!もう帰ろっ」

あたしに殴られた女の声で、一斉に帰ってい

く女子たち。

「…お前、恐ろしい女だな」

ヤスの一言で、目が覚めた。

「ヤバイ…ここ、店内だった」

「バカだな、お前」

破壊した…アイスのメニューの書いてある看

板。

「申し訳ないです…とりあえず、お金だけ、

受け取ってください」

店長に何回も頭を下げて謝ると、店長さんは

にっこりと笑い、お金を返してきた。

「あのお客さん、迷惑だったんです。追い払

ってくれて、ありがとうね」

「え?」

「今度、アイスサービスするよ」

「…本当に、すいませんでした」

「カッコ良かったよ、お姉さん」

「…ありがとうございました」

あぁ…こんな恥ずかしい思いで、お店を出た

のは初めてだよ。

「あはははは!!」

店を出た瞬間の、ヤスのバカ笑い。

「何よ!?」

「お前が殴ってくれて良かった。しかも、あ

いつに言うお前の言葉、一言一言が、あいつ

のプライド、崩れたな」

笑い続けるヤスは、あたしの頭を撫でてくれ

て、

「…ありがとな、日向」

と、笑ってくれた。
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