monoTone

「はぁ!?」

あたしが声を上げると、興味なさそうにして

いたはる君と、寝ていた京介も、びっくりし

て顔を上げた。

「あ?」

はる君がらしくない言葉を言い、京介は舌打

ち。

「紹介します。ケンザキタケル君です」

「ケンザキ~!?」

ケンザキって、繭咲って書くの!?

しかも、ゴールじゃなくて、タケル!?

タケルって、豪瑠って書くの!?

「…繭咲豪瑠。席は?」

「え~と…立花君の前、空いてるよね?じゃ

あ、立花君の前ね」

無言で歩き出した豪瑠は、はる君の前の席に

座る。

「何で!?」

「あ?」

「何でいるの!?」

「…転入したから」

「何で転入したの!?」

「…お前がいるから?」

お前がいるから?

お前って誰だよ。

しかも、疑問形かよ。

「ていうか、京介!!」

「あ?」

「揉め事起こさない!?」

「…あいつ次第だろ」

「豪瑠!!揉め事、起こさない?」

「あ?んなの、お前次第だろ」

「はぁ!?」

何で、あたし次第!?

「京介は橘の彼氏だし、橘が京介に命令すれ

ば、喧嘩にもなるんじゃない?」

はる君の話を聞いて、あ~っと、納得。

「じゃあ、喧嘩しないでね!!京介」

「…あぁ」

「…んでお前、何で名前呼んでんだよ?」

「あ~、あたし、名字は嫌で、名前に君付け

するのも嫌いなの。今までは名字しか知らな

かったし、しょうがなかったけど…今から、

名前で呼ぶね!!あと、あたしは橘日向」

「あ?」

「お前、じゃないから。名前で呼んでね」

「…あぁ」

「さ~、授業!!」

豪瑠、本当に喧嘩しないかな?

はる君は、あたしを見て笑うけど、豪瑠を見

ると、睨んでいる。

京介は、いつもあたしの方を見て伏せて寝る

のに、今日は逆を向いて寝てる。

もう…何なの?

京介とはる君は、豪瑠と仲悪いの?

いや、悪くて当たり前なんだけど、どうして

そんなに嫌そうなの?

敵チームってだけで、そんな風になる?

それとも、違う意味があって…?

授業を普通に受けるけど、彼らのことが気に

なる。

いつも通りだけど、いつもと違う?

豪瑠も寝ちゃって、あたしは今日もはる君と

話しながら、授業を受ける。

授業が終わって、教科書を片付けるため、席

を立ったら、豪瑠の周りに女子が集まってる

のが見えた。

人気者だなぁ。

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