monoTone
「京介~!!起きてっ!!」

地理の授業の直前になり、京介を起こそうと

するけれど…寝たフリをしたまま、本当に寝

てしまったみたいで、起きてくれない。

「京介~」

京介の肩を揺らすと、やっと顔を上げた。

「…あ?」

「地理」

「…あぁ」

そう言うと、むくっと起き上がった京介は、

スクールバックからペンケースを取りだし、

ノートを開く。

うわ~、字とかすごく綺麗だし、すっごくし

っかり書いてある。

あれ?

でも、京介っていつも、学校で寝てて、授業

とかも寝てるよね?

なんでノート、書いてあるんだろう?

「京介、いつノート書いてるの?いつも授業

中、寝てるよね?」

「…あ?」

「ノート!!いつも、どうしてるの?」

「…晴輝のノート、週一で写してんだよ」

「はる君の?」

「…勉強できんだから、寝てたって問題ねぇ

んだよ」

「そうなの!?」

京介って、成績良いの?

あっ、こんな言い方は失礼か…

けど、京介って、なんで勉強できるの?

ノート写してるだけで、勉強なんてできるわ

け?

「…おい」

「ん?」

「席」

…なんか、単語多くない?

「移動しろ」

教科書見たいなら、机ぐらいくっつけろって

ことなんだよね?

「うん」

京介の机に、あたしの机をくっつけると、京

介は、あたしと京介の机の間に、教科書の、

今日の範囲と思われる場所のページが、京介

によって開かれた。

ちゃんと範囲、わかってるんだ。

「…俺、地理の授業とか聞いたことねぇ」

「怖いから、あんまり変なことはしない方が

いいよ」

「…教師なんて、怖くねぇ」

「ははっ。あたしは、怖いなぁ…」

そんなことを言ってるうちに、鬼が来て。

「橘、教科書は?」

低い太い声で言われる。

「…忘れてしまったので、京介に見せてもら

います」

「おぉ、湊か。お前の顔、初めて見た」

「…チッ」

…舌打ち?

今の、京介だよね?

「おい、湊。良い度胸してんじゃねぇか」

「今の俺じゃないです。可愛い顔して、橘が

舌打ちしてました」

「えっ!?」

京介、なに言ってんの!?

京介は、ノートの端にスラスラと字を書いて

いき、その字は、綺麗だった。

【人が寝てる間に可愛いとか言うから悪ぃん

だよ】

…やり返したかったんですか!?

だから、可愛い顔してとか言ったの!?

「橘なのか?」

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