monoTone
ケータイを取り出して、空にカメラを向け、

撮る準備をする。

あっ、あたしも寝転がって撮ろ。

京介と少し間を開けて、寝転がる。

そして、もう一度、カメラをセットする。

その瞬間、京介に腕を引っ張られ、思わずシ

ャッターを押してしまった。

「あぁ!!」

押しちゃったよ!!

京介の横顔、入っちゃったよ。

あ…でも。京介の横顔と、青空。

そして、太陽の光が…すごく絵になってて、

綺麗なんて物じゃない。

てか、なんで腕、引っ張られたんだ!?

「もっと近くで寝ろだってさ」

通訳をするように、はる君が答える。

「えっ?」

「…男二人に並ばせて寝させる気か?」

それって…

あたし、二人の間に挟まれるの?

「じゃあ、隣寝るね」

やっぱり…

右にははる君、左には、京介。

こんなイケメン二人に囲まれて、寝ろと?

「あっ、写真…」

今度こそ、空の写真を撮り、ケータイを見つ

める。

「あっ、3人で撮ろうよ。橘、ケータイ貸し

てね」

パッとはる君に捕られたケータイは、あたし

とはる君と、そして京介を撮す。

「京介、もっと寄って。あと、笑えよ」

はる君に痛いところを突かれた京介は、さっ

きよりもあたしに寄ってきた。

「ハイ、チーズ」

そうはる君の掛け声によって、笑いを浮かべ

た、あたし。

はる君はもちろん、いつものスマイル。

京介は…?

あっ、笑ってる。

初めて見た…かも。

カッコイイじゃん。

「橘、今の写メしてね」

「うん」

言われた通り、二人にメールを送る。

なぜか二人は、写真を撮り終えたのに、今だ

に近い距離のまま。

そして、写真を見て、京介は

「ふっ」

と、笑っていた。

そのバカにした笑いも、今は優しく聞こえて

きて、言葉を返す。

「京介は、雨…好き?」

「…嫌いだ」

やっぱ、あたし以外にも雨が嫌いな人、いる

んだね。

「じゃあ、あたしは?」

あ…あたし、なに言ってるんだろ。

別に、好きとかそういうわけじゃ…

「嫌いじゃねぇ」

「…嫌いじゃねぇね」

それ、どっち?

嫌いだけど、嫌いって言うのは、失礼だから

言いませんって感じだし。

「ふはは。俺は、橘好きだよ。さぁ、みんな

でお昼寝タイムだ。ここなら、橘も、よく寝

られるでしょ?」

「えっ、うん」

覚えててくれたんだ。

あたしが、寝付き悪いの。

「おやすみ」

二人の肩が当たる中、あたしは二人に挟まれ

て寝た。

やっぱり、隣に人がいる安心感か、この空の

暖かさからか、すぐに寝付けた。

けど…

寝る直前まで、考えていた。

“嫌いじゃねぇ”

それは…どういう意味?
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