monoTone
そんなこと、どうでもいいと思った。

京介の腕の中にいて…

今は嫌いでも、これから好きになってもらえ

ばいいと思った…

「…行くぞ」

あたしの荷物を持ち、あたしを気遣いながら

歩いてくれる、京介。

荷物、すごく軽いのかな?

リュックサックにまとまったし…

けど、今のあたしには、重すぎるのかも。

荷物持ってた時、重たくて震えちゃったんだ

し…

あたし、まだ歩けるかな…

京介の家まで、歩かなきゃいけないんだ。

玄関を出ると、大きな紫のバイクがあって、

京介はそれに近寄っていく。

「それ、京介の…?」

「…あぁ」
京介は、いつもの短い返事をすると、ヘルメ

ットを被った。

あぁ、京介って、ヘルメットでさえ、カッコ

良く見せちゃうんだ。

もうひとつのヘルメットを持つと、あたしの

頭に被せて、少し屈みながら、あたしに装着

してくれた。

初めて被ったな、バイクのヘルメット。

少し、締め付けられた感じがする。

「きゃあっ」

京介は、あたしを軽々持ち上げて、バイクの

後ろに乗せてくれた。

だるくて、上手く体が動かせなかったから、

助かったけど…持ち上げられたのは、すごく

恥ずかしい!!

あたし、体重重いし…京介、細くて、腕とか

折れちゃいそうなんだけどな。

…大丈夫かな?

京介は、あたしを後ろに乗せた後、あたしの

荷物も乗せ、自分も乗った。

エンジンをかけて、出発!!

と思ったら、まだ出ないのか…動かない。

「…掴まれ」

「えっ?」

何に?てか、何の話?

あたしが意味がわかってないのが、読み取れ

たのか、あたしの腕を掴んだ京介は、自分の

腰に、あたしの手を巻きつかせた。

えっ…近っ…

京介が引っ張るから、あたし、京介の背中に

顔が、くっついてるんだけど…

「…振り落とすぞ」

そう言われて出されたバイクは、言葉とは裏

腹に、すごく安全運転だった。

そして止まったのは…大きなマンションの前

でした。
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