monoTone
「…お前、誰にも橘の姿、見られてねぇだろ

うな?」

「見られてねぇ。姿を見られてても、あいつ

はヘルメット被ってた」

「お前が、迂闊に行動とって、他の奴らに、

橘が狙われたらどうすんだ」

…はる君?

…と、京介の声だよね?

あたしの名前…狙われるって?

「あぁ、あの子が橘ちゃんなの?」

「あ〜、お前らが気に入るだけあるな。めっ

ちゃ可愛いじゃん。俺も狙おっ」

「…俺、女嫌い」

…他にも、3人いる。

「お前ら、黙ってろ」

京介の低い声で、騒いでた3人が、黙り、空

気が凍った。

あたしの体温まで…下がりそう。

「橘が熱の間、俺と晴輝が出入りしている姿

を目撃されるより、ここにいた方が安心だろ

うが。どうせ、晴輝だって見舞い、行くつも

りだったんだろ」

「でも、リスクが高すぎんだろ」

「一度の高いリスクと、何度もかかるリスク

をどっちかやらなきゃいけねぇなら、一度、

注意して行動する方が楽だ。それに、看病し

やすい」

…看病、してくれるんだね。

はる君も、心配してくれてるんだね。

「…起きたか?」

京介、今まで話してたのに、いつあたしが起

きたのに気がついたのかな?

「うん」

「ちょっとは、体調良くなったか?」

「うん。寝て、少し元気になれたかも」

「…そうか。立てるか?」

「多分」

「いや、やっぱいい。動くなよ」

そう言うと、寝室から出た京介。

そして、すぐに帰ってきて、寝室に明かりを

つけた。
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