monoTone
「…お前ら、病人いじんな」

「そうだよ。橘は体調悪ぃんだ。橘、ゆっく

り休んでいいからね」

いつも冷たかった京介と、はる君が優しかっ

た。

「じゃあ、治ったらいじめて良いんだな?そ

うだよなぁ、京介?」

「ヤス、いじめちゃってよ、こいつ!!なぁ、

京ちゃんもどうしたんだよ〜」

「京ちゃん!?」

京介のこと?

「…もう勝手にしろ。とにかく、しばらくは

俺らが交代で、お前の面倒見るから」

「えっ?」

「…お前は素直に、看病されてろ」

「うん。ありがとう、京介」

お礼を言うと、そっぽを向いてしまった。

…可愛いんだから。

「…ごめんね、ヤスも徠斗も美月も、はる君

も。あたしのせいで、やりたいことやれなく

なったら、ごめんね」

「はっ。お前、いきなり病人ぶってんじゃね

ぇよ、バ〜カ」

「…ごめん、ヤス」

「そうだよ、これは悪いことだよ、日向ちゃ

ん。だから今度、俺と遊ぼ〜ね」

「徠斗も…ごめん」

「早く治して出てけ。俺、女嫌いだ」

「…美月も、ごめん。早く元気になって、出

てくからさ。しばらく、お願いね」

「橘、いつまでもここにいてくれればいいの

に。まぁ気軽に、ここ、いつでも来てくれれ

ばいいから」

「うん。ありがと、はる君」

「…早く寝ろ。体調良くなったら、どっか連

れてってやる」

「うん!おやすみ」

あたしはまた、安心して目を閉じた。

誰かが、あたしの頭を撫でてくれた。

…あたしがここに、ずっといられたら、幸せ

だと思った。
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