monoTone
—ピーンポーン…
…来るの、早すぎだから。
「ヤスと徠斗、本当にごめん!!お兄ちゃんが
なんか…変なこと言ったら、殴っていいから
ね!!」
「殴んねぇよ」
「俺、お兄さんに挨拶しなきゃ〜」
呑気な徠斗は、何の挨拶をするのかい?
「日向」
「あっ、お兄ちゃん」
「日向、早く帰るぞ」
「そんなに急がなくたって…」
「こんな男だらけのところに、長居させられ
ない。面倒みてくれたのは、ありがたい。け
ど、俺の大事な妹だ」
「…すいません。勝手に」
「それに、なんだよ。みんな不良か?特に、
金髪と赤髪とか、日向に悪影響が…」
やっぱり言った。
お兄ちゃんは、そういうこと言うの?
「金髪、日向を誘惑する…なんとことあった
ら、ただじゃおかねぇから。あと、赤髪。日
向に失礼なこと言ったら、殺す」
「お兄ちゃん!!」
「日向、もうこいつらとは関わるな」
「聞いてよ!!お兄ちゃん、みんな良い人なん
だよ?あたしの看病してくれて…」
「関係ない」
「お兄ちゃんのバカ!!あたしの言ってること
わかってよ!!」
「日向、お前がわかれ」
「うっせぇ!!黙れよ!!あたしの友達なんだ!!
いいじゃん、それだけで。ダメなの!?」
「……ダメだ。特に、こいつ」
お兄ちゃんが指したのは…京介だった。
…京介なんて、見た目からして、すっごく綺
麗で、不良に見えないし、明らか弱そうなの
に。
「なんで京介と一緒にいちゃダメなの!?」
「お前に恋は、まだ早い。そういう環境に入
るな。恋をしても、辛いだけだ。日向が傷つ
く必要は、ないんだよ」
…お兄さんが、寂しそうに笑うから。
素直に頷くしかなかった。