monoTone
…で、渋々着替えたあたしは、ビキニだけで

は恥ずかしいので、真夏の大きいパーカーを

借りて、羽織っていた。

「…嫌だなぁ」

「きっと、パラソル出してくれてるよ。そこ

で休んでなよ」

「…うん」

ていうか、泳げないのも嫌だけど…

ビキニなんて着れないよ。

あたし、体型ヤバイし…

あぁ、絶対に脱がないことを誓おう。

そして、海に行くと、みんなが海パン姿で、

あたしは一瞬、ドキッとした。

…なんか、みんなが男らしい。

美月でさえ、男らしいよ…

「…橘」

「あっ、京介」

京介がパラソルの下にいて、あたしを呼んで

いる。

「ん?」

「お前、泳ぐ気ねぇんだろ?ここにいろ」

「えっ?いいの?」

「…あぁ」

…京介と、普通に学校以外で過ごすの、久し

ぶり。

今日から2週間、こういう時間が過ごせるん

だね?

「あたし、楽しみだなぁ」

「は?」

「今日から、2週間。すごく楽しそうで、わ

くわくするよ」

「…楽しめよ」

そう言った京介は、すごく綺麗な笑顔で笑っ

てくれていて、あたしも、自然に笑顔になっ

た。

京介と、他愛のない話をして、結構経って、

京介が、ふとあたしの顔を除きこんだ。

「…お前、なんで泳がねぇんだよ?」

「えっと…あはは、気にしないで」

「泳げないのか?」

「あはははは…」

…図星ですが、なにか?

「…なんでだ?」

「…たぶん、小さいから」

あたし、水泳はできるよ。

プールで、足がつくとこなら。

だけど、海は無理。

すぐ足つかなくなるし、海の水、しょっぱい

しさ。

「じゃあ…俺と行くか?」

「えっ?」

「深いとこ、連れてってやる」

「でも…」

「一回行ったら、海も好きになるぞ?」

その、笑った顔が輝いていて…

あたしは思わず、頷いてしまったんだ。
< 44 / 138 >

この作品をシェア

pagetop