monoTone
「お待たせ。ごめんね?」

みんなは普段通りの格好で、でもやっぱりカ

ッコ良く見えるのは、きっとお祭りのせいだ

と思う。

「真夏、可愛いな」

真夏は、大輔に頭を撫でられながら褒められ

て、とっても喜んでいた。

「橘も似合ってるよ」

「孫にも何とか、だな。チビ」

「はる君、このバカどうにかして」

「バカはほっとこうか、橘。可愛い姿して、

迷子になんないでね?」

「うん」

やっぱり、はる君は褒めてくれた。

ヤスは…まぁ、一応褒めてたってことで。

やっぱ、京介は言ってくれないかぁ…

「じゃあ、行こっか」

はる君の声でみんなが歩き出すと、真夏、大

輔カップルは二人で歩き出した。

あたしは、不良たちの真ん中を歩く。

右隣が京介で、左隣は美月。

「美月、お前いつの間に、こんなチビになつ

いたのかよ」

「ヤスうっせぇ。日向は、良い奴だ」

「女の子は誰でも良い子だよ~」

「美月、徠斗の言うことは、ちょっと違って

るから、信じちゃダメだよ?」

「わかってるよ、日向」

「美月、良かったな。ありがとう、橘」

「いえいえ♪」

あたし、何にもしてないけどね。

「京ちゃん、俺、かき氷買ってくる」

「あたしもっ!!あたし、わたあめ買ってくる

ね!!」

あたしも美月も、京介に報告すると、一人で

買いに行った。

わたあめを買い、京介たちのもとに戻ると…

いや、戻れなかった。

お祭りで人も多いから、迷子になりやすい…

のか、あたしが背が低くて見えないのか、迷

子になった。

「どうしよ…」

背、低いし、京介たちを見つけられるわけな

いし、見つけてもらえるとも思えない。

大輔も真夏も、見つからない。

一人できょろきょ見てるからか、視線も痛い

し。

…本当に、どうしよう。

道から外れたら、人混みから抜けて、見つけ

やすいのかな?

とりあえず、止まっているよりも、行動しよ

う。

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