monoTone
いきなり声をかけてきた、金髪男。

金髪…という意味では、徠斗よりすごい。

染めたって感じではない。

「お前の連れてる女…小学生か?」

「小さいけど、あたしは小学生じゃない!!京

介と、同い年なんですけど!?」

「…ケンザキ」

「じゃあ、俺は別に用ねぇから。彼女さんと

仲良くしろよ」

「用ないって…あんたから話しかけてきたく

せに!!待て、金髪!!」

鮮やかな金髪は、あたしの言葉を無視して、

そのまま歩いていった。

「京介、あれ誰?」

あたし、なんで小学生みたいってバカにされ

なきゃいけなかったわけ?

「…あいつは、狼牙《ろうが》の総長だ」

「狼牙…?」

「…俺らは、チーム名もねぇ、別に、暴走族

でもねぇのに、見た目のせいか、よく喧嘩売

られるんだ」

「そうなの?」

京介たちは、暴走族ではないんだ。

ていうか、別に京介たちは、関東一位とか、

全国統一とか、そういうことをやる集団では

ないんだ。

「まぁ…ヤスとか、徠斗が、喧嘩買っちまう

から、しゃーないんだけどな」

苦笑いをした、京介。

「…まぁ、喧嘩し始めるとひどいのは、俺と

晴輝だけどな」

「そうなの!?」

はる君とか、喧嘩やりたがらなそうなのに、

そうなんだ。

「俺らが暴れんのが、一番、厄介なんだろう

な」

「京介たちって、すごい強いんでしょ?」

「…いや、別に。俺と晴輝は、何にも当たれ

ないことを、喧嘩で当たってるだけだ」

…そうなんだ。

「で、狼牙は?」

「…狼牙は、関東一のチームだ」

「あの金髪が、関東一の一番!?なんか、ムカ

つく!!」

「…俺らだけなんだよ。あいつらと、対等に

殺り合うのは。だから、あいつらは…俺らを

潰そうとしてる」

「そうなんだ…じゃあ、京介、倒しちゃって

よ!!あたし、あの金髪、嫌い!!」

「…人数が、多分、狼牙だけでも、百倍いる

だろう」

「そんなに人数多いの!?」

「俺らが少ねぇんだよ」

「そうなの!?あたし、全く知らないなぁ」

「知らない方がいい。…もう遅い。帰るぞ、

日向」

「あ、うん。ねぇ、京介…」

「ん?」

「…これからも、日向って呼んでね」

「あぁ」

「いなく…ならないでね?」

「は?」

「京介…いなくなりそう。あたし、京介と、

離れ離れになっちゃいそう…」

不思議と、そう思った。

なんで…なんて、あたしだってわからないけ

ど、突然そんな気がした。

「俺からは離れねぇよ」

1日彼氏との、約束―…
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