monoTone
「さ~、利益出すよ~!!」

委員長の女の子が、声を上げる。

午後からの担当の子はいなくて、あたしたち

は、みんな午前担当の子。

「なんだけど…」

委員長の子が、声のトーンを下げる。

「二人、連絡取れない子がいて…」

「えっ?」

「男女一人ずつ、ウェートレスが足りないん

だよね」

「…大丈夫なの、それ」

あたしは素直に思った。

ウェートレスが足りないって、お店の中が回

んないってことじゃない?

「そう!!大丈夫じゃないのよ!!」

「ですよね~」

「だからさ」

ニヤッと笑った、委員長さん。

「湊君と橘さん、やって!!」

「はぁ?」

「あ?」

さっきまで、会話に参加していなかった京介

が、声を上げる。

いや、上げるに決まってるでしょ!?

「メイド服も、執事服も残ってるし!!」

掲示用、と説明された、メイド服と執事服を

指で指した、委員長。

「あれは掲示用でしょ!?」

「でも、本物だから着れなくもないよ」

「その子の衣装、ここにあるんでしょ?同じ

くらいの身長の子が、それ着てやればいいじ

ゃない!!」

「衣装は昨日、全員が持ち帰ったから、ない

のよ~」

「じゃあ、足りない人数で頑張ってよ!!あた

しは、絶対に着ないからね!!」

「無理だよ。人数ギリギリだから」

「京介も何か言ってよ!!」

「…俺に振るな」

「二人供、服着ててくれれば、席に座って、

紅茶とか飲んでくれればいいから」

「ヤダ!!着たくない」

うちのクラスの出し物のカフェは、男女ペア

でやるタイプだから、あたしと京介は、二人

セットで座ってろって話。

「…俺、座ってるだけなら、別にいい」

「はぁ!?京介、何言ってんの!?あたしは、着

ないからね!!」

「…クラスに協力しろ、じゃねぇのかよ」

…あたし、そう言って、京介に説教した。

「協力してるじゃない!!厨房でする!!」

「橘さん、お願い。あなたたちが接客すれば

ね、売り上げが上がるのよ!!」

「…着たくない」

「湊君、何とか言ってあげて?」

いつもは京介にビビってる委員長も、今日は

強気だ。

「…みんなが困ってるぞ、日向」

あいつ…あたしが説教したの、まだ根にもっ

ているのか!?

「…座って俺と、紅茶飲んでるだけだ。やっ

てやれ」

「…京介のバカ」

やりたくないよ、着たくないよ、メイド服な

んて。

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