monoTone
「名前は?」

「橘日向です」

「ありがとうございますっ!!あと、隣の男性

は?」

男性って…

「湊京介ですっ」

「…勝手に名乗んな」

「いいでしょ~?」

「お二人は、付き合ってるんですか?」

「よく勘違いされるんですけどね。付き合っ

てないんですよ~?」

「本当ですか?お似合いなのに…」

「あははっ。あたしじゃあ、京介には合わな

いよ。ありがとう」

いつの間にか、タメ口で話していた。

「…注文」

京介に言われるまで、接客してること、忘れ

てた。

「あっ…」

注文を、急いで伝えると、他の接客にも回っ

て、頑張った。

でも、なぜか毎回、名前を聞かれるのが不思

議だったし、それに、京介も聞かれてる。

「なんで名前、聞かれるのかな?」

「知らね」

その調子で接客していたら、あっという間に

担当時間が終わっていた。

午前メンバーと午後メンバーが入れ替わる時

に、委員長が

「すでに、もう材料代も、飾り代も、衣装代

分も…すべて売り終わりました!!」

と言っていた。

あたしと京介が頑張っていた意味は、あった

らしい。

「午後の売り上げと、午前の残りは、打ち上

げ代に使いたいと思いま~す!!で、さらに余

った場合は、お小遣いにします!!」

打ち上げがある上に、お小遣いもあるかもし

れないんだぁ…

京介のおかげなんだろうな~。

「京介、お疲れさま」

手を京介の顔の前に出すと、京介はあたしの

手に、自分の手を合わせて、ハイタッチして

くれた。

まさか、やってくれるとは思ってなかったけ

どね。

「…午後、どこから回りたいんだ?」

「う~ん、どこから行く?」

午後も、京介と一緒みたい。
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