monoTone
「友達としては好き。大好きだけど…」

「恋としては好きじゃない?」

「…恋がなんなのか、わかんない。好きだけ

ど、これが恋なのかわかんない…」

「ドキドキする?ずっと一緒にいたいって思

う?」

「…ドキドキするけど。一緒にいたいとは思

わない」

「いつも一緒にいるからね~、わからないよ

ね。けどさ、ドキドキするのは、多分、恋に

近いね」

「もう…全くわかんない」

「あたしは、直感だな。大輔とか、ある日突

然好きになっちゃったもん」

「あっ…それはわかる」

「え?」

「京介と1日デートした日から…何かが変わ

った」

「あ~、何したか教えてくれなかった日のこ

と?」

「そう」

京介に頼まれて、その日、お墓に行ったこと

と、ケンザキと会ったことは、秘密にしてい

た。

「あの日から…京介にドキドキするように、

なった」

「そうなんだ。何があったかは、あえて聞か

ないけどね、時間が解決してくれるんじゃな

い?」

「時間…」

「あんまり悩み込まない方がいいよ。今は、

考え過ぎなのかもしれないしね」

ポンポンッと、軽く頭を叩かれて、励まされ

た。

時間…かぁ。

大輔の時みたいに、時間が過ぎるほど、一緒

にいるのが辛くならない?

また、大輔を傷つけたみたいに、京介を傷つ

けることはない?

というか、京介は、本当にあたしのことが好

きなのかもわからない。

もし、京介があたしのことを好きだったとし

て、別れた後、友達に戻れるの?

大輔には、真夏っていう彼女が、すぐにでき

たし、大輔は特別なんじゃないの?

別れたらサヨウナラなんじゃないの?

あたし…京介とサヨウナラしたくないよ。

はる君とも美月とも、徠斗とも、ヤスとも…

サヨウナラはしたくない。

サヨウナラ…ほど悲しいことはないと、なぜ

かは知らないけど、体が知っている。

卒業式なんてなければいい…と、何度も思っ

たことがある。

好きな人はいなかったけど、仲良しの女子、

男子、先生との別れは、胸が引き裂かれそう

なくらい、辛かった。

別れがあるなら、出会いたくない。

別れがある関係には、なりたくない。

大輔みたいに、上手くいくかなんてわからな

いし、不安になる。

京介と…サヨウナラなの?

「自分の中で考えまとまった?」

真夏は、あたしが考えているのをわかって、

待っててくれたんだ。

こういう人を…失いたくない。

「うん。なんとなく」

…本当に、なんとなく。






< 90 / 138 >

この作品をシェア

pagetop