monoTone
京介が今日、あたしを迎えに来る。

デートの約束の日だから。

お兄ちゃんには、いつもより2時間遅くなる

って伝えてあって、お兄ちゃんは、それまで

は、あたしを起こさないつもりだと思う。

ちょっと…気が重い。

お兄ちゃんには、心配かけたくないし、京介

は傷つけたくない。

…あたしは、どうすればいい?

今は、まだ6時で、お兄ちゃんが起こしに来

るまで、2時間もある。

いつも通り学校なら…この時間に起きてて、

お兄ちゃんに心配かけることはないのに。

お兄ちゃんには…内緒だな。

京介たちと会うことも、反対されてる。

そんな人と付き合ってる…なんてわかれば、

お兄ちゃんは何するか、なんてことは想像も

つかない。

お兄ちゃんは、あたしに優しい。

あたしが、少し体調が悪いだけでも気がつい

てくれるし、看病してくれる。

…優しいお兄ちゃんを、傷つけたくない。

2時間って…短いのかな、長いのかな?

今のあたしにとって、2時間は…

「……短い、よなぁ…」

2時間過ぎれば、お兄ちゃんとお父さんの前

で、笑顔を見せる。

2時間過ぎれば、京介と遊ぶために、支度を

始めるんだから。

ただ…考えていた。

「好き…」

好きって感情を、あたしは、知ってるような

気がするけど、どこで何に感じたのかがわか

らなくて、何なんだかわからない。

あたしは、京介のことが好き…

それは、恋?

それとも、友情?

いや、その他…?

そんなことを考えているうちに、ガタガタと

音が聞こえてきて、話し声が聞こえた。

「日向、もうそろそろ起こすか?」

「あぁ。もう起こしてもいい時間だろ?」

「しっかり寝られてたか、チェック頼むな?

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