monoTone
悪いな、省吾」

「何言ってんだよ、親父。俺は、日向が家族

として、大事なだけだ」

お父さんとお兄ちゃんの会話が聞こえて、あ

たしはもう、起きる時間なんだと思った。


もう、2時間が過ぎたんだ。

やっぱり、2時間は短い。

ノックされて、多分お兄ちゃんが、あたしの

部屋に入ってきて、あたしの肩を揺らす。

「日向。もう時間だぞ?」

いつだって優しい声で、あたしを呼ぶ。

「うん…」

わざと起きたばっかのように、演技をしてみ

る。

お兄ちゃんにはバレちゃうんじゃないか…と

も、考えながら。

< 93 / 138 >

この作品をシェア

pagetop