私の彼氏は俺様系男子

あ、この香り何処かで嗅いだ覚えがある
なんだっけ?


「やっと捕まえた……」


低くて、透き通る声が聞こえた。


あ………。
矢野だ。


この香りと声は、矢野だ。


てか、なんでこんなことになってるんだっけ?


腕を掴まれ、そのまま引き寄せられて、
私は今矢野の腕のなかにいる。


柑橘系の香水。


高鳴る鼓動。


そして周りからの視線。


「ちょ、矢野………っ!?」


私は矢野の押し退けようとしたが、
びくともしない。


「お前が逃げるから悪ぃんだぞ」


矢野は私を抱き締めたまま言う。


だって矢野が怖い顔して、
追いかけてくるから……。


なんてこと、言えるわけなく………。


「朝から大胆~」
「見せつけんなよ~」
「あの女誰っ!?」


と、冷やかしの声が聞こえてきた。


こんなん恥ずかしすぎる……。


するとチッと、舌打ちが聞こえた。


矢野は私の耳元で囁いた。


「おい。移動するぞ」


囁いた声が、私の心臓をさらに速くする


「う……うん」


私は小さく返事をした。


私はやっと矢野の腕の中から解放された


顔があつい。


矢野は私の腕を掴み、歩き出した。


「ねぇ、どこいくの?」


「黙れ」


えぇ……………。








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