ルージュはキスのあとで
確かに私にだって人並み程度には、恋愛願望があるし、結婚願望もある。
できれば心から大好きな男の人と恋愛して、結婚して、子供を産んで……そんな未来を思い描くこともある。
だけど……。
今の生活で、その運命の人に出会える確立といえばかなり低い確率だと思う。
この職場は、ほとんどが女の人ばかり。
私は営業じゃないから、社内での仕事ばかりで外に出るときなんて出社時間と帰宅時間のみだ。
街にでれば人は溢れかえっているし、通勤電車はいつもギュウギュウだ。
だけど、すれ違うのみ。
となると、外の会社の人と出会う機会はまったくと言っていいほどにない。
もし、出会えるとしたなら会社から家に帰るまでの時間のみ。
だけど、ドラマのような現実はなかなか起こらない。
会社を出れば、誰とも話さず一日が終わっていくときなんてざらだ。
それって、ちょっとヤバイんじゃないかなぁと、このごろ特に思う。
去年まではそんなことは、これっぽっちも考えたことがなかった。
仕事もまだまだ半人前で、覚えるのに必死だったし、人間関係を作り上げるのも至難の業。
あたふたしていたら、あっという間に新入社員の一年間が終わったといった感じだった。
ただ、入社して1年が経過した。
やっと周りを見る余裕がでてきたのかもしれない。
今までならあまり感じなかった自分の容姿に、ちょっとだけ……気になりつつある今日このごろ。
だからといって、なにか対策を練っているだとか、努力しているのかといえば、それはまた別の話だ。
要するに、なあんにもやっていない。そういうことだ。
パラパラと彩乃に渡されたファッション雑誌を開いてみてみる。
どこもかしこもスレンダーで、キレイでかわいいモデルさんばかりが載っている。
そして、極めつけが……。
「進さまかぁ……」
彼みたいにゴッドハンドを持つ人にメイクしてもらったら、私みたいな平凡を絵に描いた、お洒落に無頓着な女でもキレイにしてもらえるんだろうか。
にっこりとほほ笑む、その笑顔は誰もが魅了する。
人をキレイにする仕事をしなくても、十分モデルとしてやっていけそうなぐらいにキレイな男性だ。
まったく世の中不公平なものだ。
「キレイに……なりたいなぁ」
ちょっとだけ、そんな無謀とも思えることを呟いてみた。
だけど、どうせ私が努力したってたかがしれている。
このファッション雑誌のモデルさんみたいには、到底なれないことはわかっている。
ならば、そんな事願わなければいい。
私は、彩乃に借りたファッション雑誌をパタンと閉じて、再び自分が持ってきた文庫本を手にする。
今の私にとっては、この本の中の侍の気持ちを想像して読み進めるほうが性に合っている。
コーヒーをひとくち飲んだあと、私は再び江戸時代の侍の世界に没頭した。
できれば心から大好きな男の人と恋愛して、結婚して、子供を産んで……そんな未来を思い描くこともある。
だけど……。
今の生活で、その運命の人に出会える確立といえばかなり低い確率だと思う。
この職場は、ほとんどが女の人ばかり。
私は営業じゃないから、社内での仕事ばかりで外に出るときなんて出社時間と帰宅時間のみだ。
街にでれば人は溢れかえっているし、通勤電車はいつもギュウギュウだ。
だけど、すれ違うのみ。
となると、外の会社の人と出会う機会はまったくと言っていいほどにない。
もし、出会えるとしたなら会社から家に帰るまでの時間のみ。
だけど、ドラマのような現実はなかなか起こらない。
会社を出れば、誰とも話さず一日が終わっていくときなんてざらだ。
それって、ちょっとヤバイんじゃないかなぁと、このごろ特に思う。
去年まではそんなことは、これっぽっちも考えたことがなかった。
仕事もまだまだ半人前で、覚えるのに必死だったし、人間関係を作り上げるのも至難の業。
あたふたしていたら、あっという間に新入社員の一年間が終わったといった感じだった。
ただ、入社して1年が経過した。
やっと周りを見る余裕がでてきたのかもしれない。
今までならあまり感じなかった自分の容姿に、ちょっとだけ……気になりつつある今日このごろ。
だからといって、なにか対策を練っているだとか、努力しているのかといえば、それはまた別の話だ。
要するに、なあんにもやっていない。そういうことだ。
パラパラと彩乃に渡されたファッション雑誌を開いてみてみる。
どこもかしこもスレンダーで、キレイでかわいいモデルさんばかりが載っている。
そして、極めつけが……。
「進さまかぁ……」
彼みたいにゴッドハンドを持つ人にメイクしてもらったら、私みたいな平凡を絵に描いた、お洒落に無頓着な女でもキレイにしてもらえるんだろうか。
にっこりとほほ笑む、その笑顔は誰もが魅了する。
人をキレイにする仕事をしなくても、十分モデルとしてやっていけそうなぐらいにキレイな男性だ。
まったく世の中不公平なものだ。
「キレイに……なりたいなぁ」
ちょっとだけ、そんな無謀とも思えることを呟いてみた。
だけど、どうせ私が努力したってたかがしれている。
このファッション雑誌のモデルさんみたいには、到底なれないことはわかっている。
ならば、そんな事願わなければいい。
私は、彩乃に借りたファッション雑誌をパタンと閉じて、再び自分が持ってきた文庫本を手にする。
今の私にとっては、この本の中の侍の気持ちを想像して読み進めるほうが性に合っている。
コーヒーをひとくち飲んだあと、私は再び江戸時代の侍の世界に没頭した。