ルージュはキスのあとで
逃げ出したい、逃げれない!

12  逃げ出したい、逃げられない!





「え? しゃ、写真ですか?」

「そうよ」

「こ、この格好で……ですか?」

「うん」

「えっと……この適当メイクで……ですか?」

「そうそう」

「……」



 何度もなんども聞き返す私に、皆藤さんも苦笑気味だ。
いや、ここは聞いちゃうでしょ?
 だって写真をとるだなんて聞いていないんだもの。

 自分の今の格好を今一度見て、「ありえない」と呟いた。



「まあ、ここは覚悟をきめて、ね?」

「……」

「ちゃちゃっと終わらせるから、大丈夫大丈夫」

「……全然大丈夫じゃないと思うんですが」

「いやぁね、大丈夫よ」



 あははと笑い飛ばす皆藤さんをジトッと恨みがましい視線で見つめた。

 そんな私の視線に気がついているはずの皆藤さんは、そしらぬフリで視線を逸らした。

 まったく、あいかわらずなんだから。皆藤さんったら。

 口を尖らせて皆藤さんを見たのだけど、それも意図的に見て見ないフリをされましたけどね。


いや、でもね……。


 さすがに私でも、これはマズイんじゃないかなぁと思うのですよ。
 それは……私的にってことだけど。






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