ルージュはキスのあとで
少しの興味と好奇心
2 少しの興味と好奇心
「君は、お休みの日はなにをしているの?」
「私ですか? ……そうですね。本を読んでいるときが多いかもしれません」
「ど、読書かぁ……女の子だから恋愛モノとか読んでるのかな? よく今、映画化されたりしているよね?」
「いえ。映画化されている恋愛モノは読んだことないです」
「じ、じゃあどんなジャンルを読んでいるの?」
「そうですね……よく時代モノを読んでます」
「じ、時代モノとは?」
「あー、侍とか」
「……」
そうなんだぁ、と少しの沈黙のあと、目の前の男の人は苦笑した。
そして、私のほうに向けていた体を横に向け、私から視線を逸らした。
男性のその態度を見て、「また、やってしまった」と思わずため息が零れ落ちた。
いつもこのパターンだ。そろそろ学習してもいいのに。
自分で情けなくなってきて、手にしていたジュースを飲みほした。
チラリと幹事席に座っている彩乃を見たら、あちゃぁと苦い顔をしている。
――― 本当あちゃぁだよねぇ。
私は、やけくそとばかりに目の前の料理に手をつけた。
今日は、彩乃に強引に誘われて合コンの席に来ている。
会社に近い、ちょっとお洒落な居酒屋で5対5の合コン。
なんでも相手は、うちの会社から近い輸入会社にお勤めの精鋭軍団らしい。
たしかに仕事ができそうな雰囲気をもっていて、どの人も個性豊かで見目もそんなに悪くない。
彩乃に言わせれば、『かなりの上玉』らしいのだが、私はどの人もピンとこない。
ま、私みたいな女子力が低い女に品定めされたら、精鋭軍団は「物申す!」といって怒り出しそうだけど。
私はひとりごちて、肩をすくめた。