夏色狂想曲
生温い風が草木を撫で、笑花の髪を揺らし、俺の髪を通り抜ける。
8月も終わりだと言うのに、まだくっそ暑い。
服を着たまま2人で川に飛び込もうって約束
また水鉄砲でびしょびしょになろうって約束
溶けるような真夏の熱帯夜で、何度も迎えた絶頂の後にも、数えきれない契りを交わした。
そのどれも消化不良
なにひとつ果たせてやいない。
まだまだ俺らの夏は終わっちゃいねぇだの何だの、2人で喚いてたっけか。
今考えてみれば、ただのガキの台詞じゃねぇの。
遠い昔のようで、ほんの数日前。
ついこの間のようで、届かない過去。
こんなにも泣きたくなるのは…
「…笑花は、全部覚えてっか?」