夏色狂想曲
ゆっくりと、顔を笑花の方に向ける。吸い寄せられるように、笑花もこっちを向く。
寄せられたのは、俺か?
…この際どっちでもいい。
そしてまた、コイツは笑うんだ。まるで笑い方を忘れたような、貼りつけたような痛い笑顔で。
痛みなんか全く知らないかのように笑ってばかりで、だけどその笑顔は何よりも痛みを知っている。
俺はもう、そんな顔なんか見たくないんだ。
だからもう…―――
「 」
お わ り に し よ う
笑花の笑顔が枯れた。
俺の声はきっと空気に溶けた。
望んでないのに望んだのは
2人とも一緒