夏色狂想曲
◆。.
「明日から学校だね~…」
隣にいる笑花の声に耳を傾ける。
親分にもたれながら赤く染まる空を眺め、少しの寂寥を感じた。
夏の終わりとはいえ、まだ日が長い。もう6時なのにまだ辺りは明るくて、家に帰る気を消失させる。
「夏休み、終わったな…」
「ん…結局あたしたち、ほぼ毎日ここに来たね」
寂しい赤に浮かぶ笑花の声に、後ろ髪を引かれる思いだ。…引かれるほど髪は長くないけどな…ってそういう問題じゃないか。
帰りたくないのは、終わりたくないのは、勉強がしたくないからなのか。笑花と2人で眺めるこの景色に捕われていたいからなのか。
どっちも含まれるけど、多分、というか確実に後者の割合が高い。