夏色狂想曲


「別に俺ら学校でも会えるんだけどな」


何でこんなにも寂しいんだろう、という言葉は飲み込んだ。


「でも…寂しい」


…笑花が、代わりに言ってくれたから。



「笑花ってさ…」

「んー…?」

「…たまにすげぇ寂しそうな顔してる」

「…前にも言われた」

「してんだもん」


寂しさを感じる一因は、笑花な気がする。笑花が、ふとした瞬間に寂しそうな顔をするから。


前にたった1度だけ、笑花がこぼしてた。


『今が幸せすぎるから、怖い。時間が経てば、“今”が終わっちゃうから』


そう言ったのを、俺は忘れない。


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