夏色狂想曲
…この時はもう忘れていた、心臓がバクバクとうるさすぎて。
ひそかに綴っていたブログを笑花に教えようとしていたこと。
「…帰るか」
そして俺らは、立ち上がった。
「また来年も浸るか、あそこ」
「その前に冬休みでしょ?」
「ちょ、冬って…寒すぎんだろ」
「じゃあ、あたし1人で来ようかな…」
「や、それは勘弁。俺も一緒に凍死してやる」
「なんで凍死前提なの」
いつもみたいに他愛もない会話をしながら、いつもの交差点に着いた。
「じゃあ、また明日」
「うん、明日ね」
いつものように手を振って、笑花は右に曲がり、俺は横断歩道を渡る。そうして今日が終わりに向かう、
――――…はずだった。