夏色狂想曲
長い間立ち止まっていたけど、これから、ようやく前を向いて歩くよ。
堕ちて、堕ちて、堕ちていたあたしが、それでもこうして立ち上がろうと思えたのは、
やっぱり皐月のお陰です。
ありがとう、ごめんね。
きっかけは桜が咲き始めたある日、皐月の友達があたしの部屋に押し入ってきたことだった。
死んだようにベッドに沈むあたしに、彼は携帯を突き付けた。
その時に見たものこそ、皐月がずっと隠していたブログ。
「いつまでも逃げてんなよ…!」
苦痛に歪んだ彼の顔と初めて読んだブログの内容に、あたしの中の何かがピクリと揺れたんだ。
だけどそれさえも認めるのが怖かった。
だってすぐそばの光に踏み込めば、皐月を失うんでしょ…?