【短】恋病
しかも...ちょっと顔赤いし!!!


えっええぇ!??!


「どうしたの?」




「わかんねぇけど、その...あんとき俺勝手に体が動いてたってゆうか...なんつーか...」

「えっ?」



みるみる赤くなる瀬川。


「俺さ、気がつくと佳奈のことみてんだよな」

「えっ!」



....ううう嘘でしょ??!


瀬川が...私のことっ?


えっありえないよ...まさかこんな夢みたいなことっ!


「おお..おいっ!なんで泣いてんだよ!!」


「わかんない...」


なんでかな?



これはきっとうれし涙。



だけど、味わったことのないような不思議な感覚。


「んったく...あぁっ!俺さ、佳奈のこと好きかもしんねぇ」


「わっ私も...好きだよ!!」


すると瀬川は驚いた顔で私を見た。


そしてそのまま...私を優しく抱きしめた。



あぁ...言えた。



片想いって、そばにいれるだけで


目が合うだけで...それだけで嬉しくて



私はそれだけで満足してた。



だけど...


それを超えると


こんなにも嬉しくて、こんなにもドキドキする


言葉に表せない感情があふれ出るって知らなかった。



きっとこれは、恋病にかかった人にしか


わからない。


告白して、この関係が崩れることを恐れちゃう私もいた。


っていうか、その以前に今のままで十分って言い聞かせてた。


だけどやっぱり、今より幸せなことってないと思うんだ。


失敗を恐れてたら、何も始まらない。









帰り道、私は隆太と帰った。


もう瀬川なんて好きじゃないよ。


私は”隆太”が好きなんだ。
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