【短】恋病
いつものように、学校が始まった。




すると...


『ガラ』


っ!!


「おいっ瀬川!」

「...はい」


クラスの遅刻魔、瀬川隆太(せがわ りゅうた)が



だるそうに教室に入ってきた。



「なんで遅刻したんだ!!」

「...寝坊しました...」


「またか!明日は気をつけるように!」

「...ん、はい」



そして重たい鞄を肩にかけたまま


私の斜め前の席にドスっと腰を下ろすと


腕を組んだまま頭を下げ、再び寝始めた。



...瀬川隆太。





彼こそが、私が密かに想いを寄せる人。




っ!さっき遅刻した理由で『寝坊』って言っていなかった?!


なのにまた寝るの?!

私は静かに『クスッ』と噴出した。



「どうした?」


すると隣の席の和田に聞こえたのかそういわれた私は


ごまかすように咳払いを続けてして見せた。


「ん、ちょっと苦しくて」




斜め前の席では、相変わらず頭をコクっと上下に揺らす瀬川。



....ふわふわの髪の毛が、そのたびに動く。



これだけでも...好きだなぁ。



もはや【瀬川病】?!


ってくらい 1つ1つのこと全てがいとおしく思えちゃう。


でもこれは、親友の美里も春もしらない


私だけの 【恋病】なんだ。
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