【短】恋病
『キーンコーンカーンコーン』



「じゃあ1時間目の社会の準備をするように」


赤Tはそういうと ドスドスと教室を出て行った。




-その瞬間。



『ザワザワ』



クラスは一気にうるさくなる....いつものことだ。




もちろん春も、当たり前のように後ろの私に体を向けた。




はぁ...それにしても....いいなぁ。



春。瀬川と隣の席で。


小学校が同じだった瀬川と春は まぁ長い付き合いだし


仲が良い。


よく笑いあっている2人の背中を見て、1人悔しくなったりする。



春なら私のことを絶対理解してくれるし、言ってもいいんだけど...



真面目でプライドの高い私にとって、いくら信頼している人でも



好きなことを言うっていうのは...少しの難関なんだ。



まぁ...瀬川と同じ班なだけでも嬉しいんだケドね。




「佳奈~先生くるまで一緒に勉強しなぁい?!」


「あー...でも私、直前にやってもわけわかんなくなるし。春に迷惑かけるから...いいやっ!初めてノー勉でいきまーす★」


こんなの、本当は嘘。



ただ、1分1秒でも....背中でもいいから瀬川を見ていたい。


こんな私の勝手な嘘。



でもこれって、きっと私だけじゃないと想うんだ。



好きな人のそばにいるだけでも


後姿を見るだけでも


嬉しくて ドキドキするのって片想い女子は


きっとみんな同じだと想う。



ごめんね、春。


「はいよ~!じゃあ佳奈ファイト」


「んっありがと(笑)」

そして美里はくるっと前を向いた。




よぉ~し!


瀬川観察開始っ★


私は教科書を見ているように立てておき、瀬川を見た。



だけど...


「ね!隆太!!!」


春が寝ている瀬川を揺らし瀬川を起こした。



ええええ!!!


ちょっちょっと春ぅ~邪魔だよっ!!

なぁんて内心想っちゃうバカな私。



これなら春と教科書みればよかった~なんて軽く後悔。


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