薔薇城の若き当主。
✝✝✝ 【5分後】
現在三人は油絵の具の臭いが僅かに残る部屋にいた。
「で?」
と、ノアは「さっさと言え」とでも言うようにジークを一瞥<イチベツ>する。
その動作にジークは深刻そうな顔で頷き、キリスは微苦笑を浮かべた。
「今日は、本当に大切な頼みがあってお前を呼んだ」
珍しくも真剣な表情をして、ジ-クはノアを見つめる。
その言葉にノアは「そうか」と素っ気なく返し、半透明の薄青色が特徴的の、同盟国であるハーフェルからとり寄せた(らしい)紅茶を口に含む。
「……で、その頼みとは?」
「リリアのことだ。」
「だろうな」