保健室のアイツ
「あらあら、随分と派手に転んだのね」
ケガした生徒の腕をひき、椅子へと座らせ、ケガの消毒をする。
「しっかし、お前あのこけ方はねーよな」
私の頭上から降ってくる声。
付き添いで来ていた生徒の男の子だ。
私は彼の声に無意識に反応し、ふっと顔を上げた。
一瞬、窓からの陽射しが眩しくて目が霞んだ。
光に慣らすようにゆっくりと目を開けていく。
―…キレイな子。
窓からの太陽の柔らかい陽射しが彼を横から照らし、彼の茶色い髪が透き通るくらいキラキラと輝いている。
健康的な肌色に、切れ長の目の下には涙ボクロ。
長い睫毛の奥には色素の薄いグレーがかった瞳。
スッと通った鼻筋に、薄い唇。
女の私でも見とれてしまう程、キレイだった。