保健室のアイツ
私は手に持っていた包帯を扉に向かって投げつけた。



ハァ、ハァ…



三十路近くなると怒りだけで息が切れる。


自分で投げつけた包帯をトボトボと拾いに行き、ガックリと肩を落とした。



はぁ…欲求不満かぁ…



確かに彼氏と別れてから、ここ数ヶ月ご無沙汰だ。



そんなに物欲しそうな顔してたのかな…


不安になり壁に掛けられた鏡を眼鏡を外し覗き込む。



………。



乾燥したお肌に、目の下には薄らクマ。


ファンデはシワに入り込んで線になっている。
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