線香花火
日常
蝉の音が、嫌というほど聞こえてくる。
季節は夏。
花火大会まで、あと少し。
「うーん…無理っ!わかんないよ。」
「んなこと言わないで頑張って!夏美ならできる!」
馬鹿なあたしは今年も補習を受けている。
優しい緑は、そんなあたしについてきてくれて、一緒に補習を受けている。
「ねぇ、花火大会さぁ、今年も誰もカップルできなかったから同じメンツでいいよね?」
「そうだねぇ…。蓮とかあっさり彼女できそうなのに(笑)」
「そぉ?緑の方が先にできそうだけど?」
毎年幼馴染4人で花火大会に行っていた。
あたし、緑、蓮、そして、陸。
蓮とあたしは隣同士の家で、二つあけて陸の家、その一つあけて緑の家となっている。
「いーや、俺が先に彼女作るぞー。」
「陸は無理だね!ってか、遅刻ー!」
あたしよりバカな陸は、当たり前に補習。
あたしらには、絶対切れない絆があった。
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