線香花火
あたしは陸の手を取って、ある場所へ向かう。
そう。
あたしの大好きな金魚すくい。
「陸、今年も負けないから!」
「フン。今年こそ絶対勝ってやる!おばさん、スタートって!」
「はいはい。スタート!」
毎年勝っている金魚すくい。
昔は楽勝だったけど、最近は僅差で勝つことが多くなった。
あたしも気を入れてすくう!
「終了だよ。陸ちゃん、破けちゃってるねえ、-1点。」
「よっしゃあ!あたしは…24!」
「21、22、23、…24…25!」
「なっちゃん、残念だったね。陸ちゃんの勝ちだよ。」
おばちゃんがびっくりした顔で、あたしの顔を覗き込む。
「陸に負けるとは…くそっ、腕をあげたなっ!」
「俺は必勝法を考え付いたんだ!」
「陸には聞きたくない。」
「俺は教えない。」
たくさんすくった金魚の中で、お気に入りの4つの金魚を持ち帰る。
あたしらは集合場所へと向かった。