線香花火




その時は誰も線香花火が人生に関わるとは思わなかった。




「よしっ!帰ろうか。」

「そうだね…。」




あたしたちは、帰ると言っても帰り道は同じ。
普段通りの何気ない会話をして家へ向かった。




「あーあ、別れ道…」

「でも、緑、もうママに怒られるんだけど。」

「そ、そうだよね!じゃぁ、また!」

「また…明日ね。」




一瞬、陸と目が合った。
でもなにも無かったかのように、歩き出した。
陸は緑の隣で。




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