好きな子はツンデレ
オレがそう思うようになったのは、勝手な想像からではない。


ちゃんとした理由からだ。




まだ、クラスも変わったばかりで慣れなかった時。


オレはたまたま用事があった為に、図書室に行ったんだ。


この時間ならば誰もいないだろうと思い、足を運んだ先。


古くて開けにくいドアをこじ開け、そろりと入った図書室。



誰もいないと踏んだオレの予想は、そこにいた先客によって打ち消された。



オレのいる入り口に背を向け、懸命に机に広げたものと向かい合う姿。



それが静ちゃんだった。



オレは事前に「押田静には近付かない方が身のためだ」とダチに釘をさされていたから、本当はすぐにでも立ち去ろうとした。



でも何かに一生懸命取り組む静ちゃんの姿を見て、そのまま図書室を出ることは出来なかった。



まだオレの存在に気付かない静ちゃんに近付いて行く。




「何してるの?」



後ろから声を掛けると彼女は肩を縮ませ、ゆっくりとオレを振り返った。



まるでいけないことを見つかったかのような表情をする彼女。



しかし、すぐに背を向けられた。


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