好きな子はツンデレ
彼女は机に広げていたノートや、教科書を集め始めた。



急いでそれを持って椅子から立ち上がる。



それが彼女の手から離れて、オレの足元に落ちた。



「あ…」と声を発する彼女。



オレは足の上に広がって落ちたノートを拾い上げた。




「はい」


と彼女の手元に戻してやる。



彼女は口を結んで、そのまま又席についた。


オレも、その隣に腰掛ける。


静ちゃんは手に持っていた消しゴムで、作業を開始した。



「アンタ…逃げないんだね」



静ちゃんはポツリとこぼした。



「どうして?」と聞くと、彼女はノートの上の消しカスをほろった。



「あたしに近付くと危ないらしいよ。だから帰れば?」


その横顔は落ち着いていて、とても綺麗だった。



オレは静ちゃんのペンケースからもう一つの消しゴムを借りた。



彼女はビックリした顔でオレを見る。



「手伝うよ」



それだけ言って彼女の広げてあった教科書を念入りに消し始めた。


しばらく呆然と固まっていた彼女だったが、つられたように自分もノートを消し始めた。


< 5 / 13 >

この作品をシェア

pagetop