好きな子はツンデレ
オレは自分の目的さえもほったらかして、一緒になって彼女のノートや教科書と戦った。
「…変だね。アンタ」
「どうして?」
彼女の前髪は前に垂れている。
オレはそれ以上問わず、作業を続けた。
静ちゃんは1つ小さな咳をすると、消えてしまいそうに
「…ありがと」
と言葉を落としたんだ。
彼女を執拗に脅すような暴言や嫌味で真っ黒になったノートや教科書を、オレ達は無言で消していった。
途中のページに、ところどころ水分でパリパリになった箇所があった。
オレがあそこを訪れるまで、静ちゃんは一人で戦っていた。
弱音なんて吐かず、毎日学校へ来る彼女。
『ありがと』と呟いた彼女は、確かに泣いていたんだ。
くだらない嫌がらせと立ち向かう彼女はとても強くて、したたかだった。
そして、この日にようやく分かったんだ。
静ちゃんは「ありがとう」って素直に言える子で、最初に彼女が「早く帰れば?」なんて言ったのは嫌味からじゃない。
自分に近付いたらオレが何か言われると考えてわざとあんな風に言ったんだ。
不器用な彼女の優しさだって。
「…変だね。アンタ」
「どうして?」
彼女の前髪は前に垂れている。
オレはそれ以上問わず、作業を続けた。
静ちゃんは1つ小さな咳をすると、消えてしまいそうに
「…ありがと」
と言葉を落としたんだ。
彼女を執拗に脅すような暴言や嫌味で真っ黒になったノートや教科書を、オレ達は無言で消していった。
途中のページに、ところどころ水分でパリパリになった箇所があった。
オレがあそこを訪れるまで、静ちゃんは一人で戦っていた。
弱音なんて吐かず、毎日学校へ来る彼女。
『ありがと』と呟いた彼女は、確かに泣いていたんだ。
くだらない嫌がらせと立ち向かう彼女はとても強くて、したたかだった。
そして、この日にようやく分かったんだ。
静ちゃんは「ありがとう」って素直に言える子で、最初に彼女が「早く帰れば?」なんて言ったのは嫌味からじゃない。
自分に近付いたらオレが何か言われると考えてわざとあんな風に言ったんだ。
不器用な彼女の優しさだって。