Reset — リセット —






靴を脱ぎ捨て中に入る

「ただいま」

誰も居ないと分かっていても未だに言ってしまう知らないうちについてしまった癖

返事は来ないと分かっているのに
心の中のどこかで期待している自分に
つくづく嫌気がさす

「はぁ…今日はなんだかもの凄く疲れた」

その理由はいうまでもなく”天使”のせいだろう。

黒いソファに鞄を投げ捨て
ネクタイとスーツのジャケットをクローゼットに掛け風呂場まで行く

風呂場の鏡に映った自分の情け無い顔を見てため息をつき

熱いぐらいのシャワーを浴びる
最近は湯の中に浸からない
彼女が出て行ってからは特に…

もともと長風呂が嫌いな俺は
いつもシャワーで済ませる

ガチゴチに冷え切っていた身体が
シャワーの熱によって徐々にほぐれて温かくなってきた

それと同時に頭もだんだん働くようになり、今さっきの出来事が何度も頭の中で再生される

俺は頭を横にブンブンと振り
考えたくもない映像を頭から追い出した

そして、温まった身体が冷めない内に
さっさと着替えを済ませ、頭を拭きながらリビングへと戻った


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