星の数ほど『あいしてる』
*日常*
「おっはよー!香音っ」
後ろから抱きついてきたのは、池田 明日美(いけだ あすみ)。
私の一番の親友。

「はよー。」
いつもどおり挨拶して通学路を歩く。

「香音ー、宿題やったー?」
「うん、一応、」
「ホントっ?じゃあ、宿題みっ」
「自分でやれっ」

「うおっ!先に答え言われた!!」
「…いつものことじゃんっ明日美が『宿題みっせてー』って言うのなんて、」
朝日を浴びながら冷静に言う私。

「もうっ、つれないなあっ香音ちんってばあ」
そう言いながら私のブレザーの裾をツンツン引っ張る明日美。

明日美は、元気が取り柄って感じの女の子で、剣道部のエースさん。

「おっ!?そこにいるのは仲良しコンビですかっ?」
この人は、坂上 龍也(さかがみ りゅうや)。
音楽が大好きで、いつも首にヘッドホンをかけている。
バンドを組んでて、通称音楽バカ。

「げっ!!坂上っ」
「『げっ』ってなんだよー!池田ーっ」
言い合っている坂上と明日美の間を通り抜け、校門に向かう私。

「ふー、ぎりぎりセーフっ」
2人をおいていったおかげで遅刻しないですんだ。

ガラガラ…

先生が校門を閉めてしまう。

「あーっ!香音おいてかないでよーっ」
「そーだそーだ!開けろーっ」
そう言いながら坂上は、門をガシャガシャ揺らす。
まるで捕まった犯罪者みたいだ。

私は、呆れながらも門を開ける。

「さっすが私の香音っ!」
明日美がまた抱きついてきた。
「明日美…暑いよー…」

キーンコーンカーンコーン

「おいっ!チャイムなったぞっ!いそがねーとっ」
坂上の声で明日美から解放され、いそいで教室へ私達は向かった。

教室の扉を開けてすぐ、1人のクラスメートがこっちにかけてきた。

「香音ーっ、明日美ーっ」
この子は、渡辺 美紀(わたなべ みき)。
私のクラスの委員長。そして親友第二号っ!

「遅刻は、ダメでしょっ?」
可愛らしいピンクのほっぺをぷくっと膨らませ、私達に言う美紀。

「う…はい…」
「明日美もよっ?」
既に、自分の席に着いていた明日美。
逃げ足がはやかった。

そんなこんなで授業が始まるチャイムが鳴り響いた。
私は、授業中昔のことを思い出していた。
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