Believe
3軒目のお店に着いた。ここも問題なく終了。

「また来ます」と言いお店のドアを開け営業車に乗ろうとした時

「すみません」と後ろから声を掛けられた。

「はい」と私は後ろを振り返る。

その瞬間、目を疑った。

(何で?何でこんな所にあなたがいるの…?)

そこに立っていたのは私が高校生の時から大ファンのアーティスト「稲葉 拓斗」だった。

「あのー、道を教えて貰いたいんですけど…○○って場所分かりますか?道に迷ってしまって…」

私はあまりの驚きで声が出ない。

「あのー」と稲葉さん。

「あっ、はい。○○はこの道を真っ直ぐ行って…」と説明をする。

緊張と興奮で上手く説明が出来なかった。自分が何を言ったのかも分からない状態。

「ありがとうございます」と笑って稲葉さんは車に乗り込んでしまった。

何が起きたのか状況が掴めないまま、私は呆然と立っている。

ふと我に返った私は(あー折角のチャンス、握手をして貰えば良かった)と後悔。

その時……


ガチャ


運転席のドアが開いて、稲葉さんが車から降りこっちに向かって歩いてきた。

(何だろう?こっちに来る)

私の心臓は今にも飛び出してしまいそうなくらいに高鳴っている。
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