Believe
「あの…突然こんなこと言うのは申し訳ないんですが、もし良かったらあなたの連絡先を教えてくれませんか?」

「えっ?」耳を疑った。


「急に連絡先なんて聞かれたら迷惑ですよね。また迷った時どうしようかと思ったんだけど、すみません」

と言い稲葉さんは後ろを向いて行こうとした時

「いいですよ」と私は大声を出してしまった。

私の声にビックリしたのか稲葉さんの表情が固まっている。

「あっ、すみません。急に大声を出してしまって…」と私は恥ずかしさで顔が熱い。

「大丈夫だよ」と笑ってくれる稲葉さん。

「違っていたらすみませんが、稲葉 拓斗さんですよね?」と思わず聞いてしまった。

すると「そうだよ」とサラッと言う稲葉さん。

私の頭の中は真っ白。

(えっ、何でこんな所に居るの?今日はこっちでイベントなんて無いし?しかも、話し掛けられて連絡先を聞かれてる?これは夢なのか?)

「どうかしましたか?」

「いえ、何でも無いです」

稲葉さんはポケットから携帯電話を取り出した。

私も携帯電話を取り出しパカッと開いた瞬間、目に飛び込んできたのは稲葉さんの待ち受け画面。

(あっ、ヤバイ。待ち受けにしてるのすっかり忘れてた。うわー引かれるよ…)

携帯の画面を見た稲葉さんが「俺だ!」と笑っている。
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