Believe
突然泉は笑い出した。

「だから泉は笑うって言ったじゃん」

「ごめんごめん。だってドラマみたいな話が現実に起こってるんもん。それで食事に行って?」

「その日は食事して帰った」

「それだけ?」

「そうだけど。他に何か?何か期待してない?」

「いいえ…」と言いつつも泉の口元はニヤけている。

「今もたまに連絡が来るんだ」

「でも、向こうは芸能人だよ?芸能人って周りに綺麗な人が多いから、一般人なんて本気で相手にしないんじゃない?」

「そうだよね…」

「優希はどう思ってるの?」

「自分でも分かんないんだ。今までファンだったし。これからもファンだし…こんな風に稲葉さんに出会えるなんて思ってなかったからさ」

「そうだよね。普通に生活していて芸能人と出会える事なんて有り得ないからね」

「そうだよね。でも、プライベートの稲葉さんは凄く優しい人だったんだ」

「そうですか!優希が好きなら私は応援するよ」

泉の言ってくれた言葉に自信が付いた。

「ありがとう…泉」

「でも忙しくてなかなか会えないと思うけど大丈夫なの?優希は寂しがりやだからさ」

「うん!大丈夫だと思う」

「おっ、優希にしては意外な発言」

この日は泉と遅くまで話は尽きなかった。
< 30 / 68 >

この作品をシェア

pagetop