Believe
「あー良かった」

「何が良かったんですか?」

「優希ちゃん、ちょっと外出て来れる?」

「はい…ちょっと待って下さい」

私は稲葉さんに言われた通り外に出た。


……??

辺りをキョロキョロ見渡したが、特に変わった様子は無い。

「あの…外に出ましたけど…」


そこへ


「優希ちゃん」

と、どこからか私の名前が呼ばれたような気がした。

私は恐る恐る階段の方へと行ってみた。

その瞬間…

階段の下に稲葉さんが立っている。

突然の出来事に頭の中が混乱していた。

「な、何で稲葉さんがここに居るんですか?」

「あはは、優希ちゃんをビックリさせたくて来ちゃった!」

と少年の様な笑顔を見せる稲葉さん。

「ビックリしましたよ。外に出てなんて言うから何かと思いました」

「ごめんごめん。優希ちゃん今大丈夫?」

「はい、大丈夫ですけど」

「少しドライブ行かない?」

「は、はい。でも稲葉さん帰って来たばっかりで疲れてるんじゃ?」

「平気だよ!帰りの飛行機の中で寝てたから」

「じゃーすぐに準備してきます」

と私は走って部屋まで行った。

(本当にビックリしたよ。まさか稲葉さんが居るなんて予想外だよ)

と思いながら私は鏡を見た。

(あーーっ、私素っぴんだった。今日は休みだったし、何処にも出掛けて無いから化粧してないんだ。どうしよう…今から化粧なんてしてたら、稲葉さんを凄く待たせちゃう。とりあえず眉毛だけは…)

慌てて準備をして稲葉さんが待つ駐車場に行った。
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