Believe
それに、ファンと付き合ってるなんて稲葉さんの印象も悪くなっちゃう。

そうなったら稲葉さんだけじゃなく他のメンバーや事務所にまで迷惑がかかっちゃう。

私にはそんな事出来ない…

そんな事してはいけない…

稲葉さんの事はファンとしてだけじゃなく、1人の人間として好き。

だけど、私と付き合う事によって、皆に嫌な思いをさせるくらいなら私の気持ちは仕舞っておこう…

普通なら食事したり、ドライブ行ったりなんて出来ないんだから、それが出来た事だけでも幸せだよね。

もう迷わないと決めたはずが今日の出来事を思い出しているうちにまた私の心は迷い始めてしまった。

車に乗り込みエンジンをかけると稲葉さんから貰った新曲が流れる。

稲葉さんはどう思っているのだろう?

私、稲葉さんの重荷にはなりたくない…

考えれば考えるほど、どうしたらいいのか分からない。

揺れ動く気持ちを抱きながら、私は車を走らせ家に向かった。

家に着き、部屋に入る。

私は寝室に行き、ベッドに倒れ込んだ。

(昨日は決めていたのに…どうして?)

そんな時、泉の言葉が頭を過る。

『優希が信じてあげなくてどうする』

(そうだよね。信じてあげなくちゃ。稲葉さんの事も、自分の事も)

私はベッドから起き上がり時計を見ると9時半。

(電話してみようかなぁ?仕事中だと悪いしメールしてみよう)

私は稲葉さんにメールを入れた。
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