Believe
その瞬間、私は稲葉さんに抱きしめられた。

「もう優希ちゃんから連絡が来ないんじゃないかって思ってた。2週間も経っちゃったし、迷惑なのかなって不安だったんだ。でも良かった」と呟いて言う稲葉さん。

「ごめんなさい…いつ連絡していいのか分からなくて…」

「これからは、いつでも連絡してきてね」

「はい…」

「また連絡するから。優希ちゃん、おやすみ」

と私のおでこに稲葉さんの唇が触れる。

突然の事に顔が熱くなっているのが自分でも分かった。

「おやすみなさい」と私。

「おやすみ。優希ちゃん、またね」と稲葉さん。

私は車から降りた。

いつものようにハザードランプを点けてくれる。

そして、稲葉さんは帰った。

私は、稲葉さんの車が見えなくなるまで見送っていた。
< 48 / 68 >

この作品をシェア

pagetop