Believe
その日の仕事が終わり、車に乗って家に帰ろうとしていた時、携帯が鳴った。

(この着信音は稲葉さんからだ。こんな時間にかかってくるなんて珍しいなぁ)
思いつつ電話に出る。

「もしもし」

「もしもし、仕事終わった?」

「はい。今終わりました」

「お疲れ」と拓斗。

「お疲れ様です」

「実は、優希に報告があるんだ!」

「ほうこく?」

(最近、報告が多いなぁ)と思いつつ、私の胸は高鳴る。

「昨日、メンバーのみんなと飲みに行ったんだ」

「そうなんですか?やっぱり仲良しですね」

「それで、メンバーに優希と付き合ってるって言っちゃった」と拓斗。

「えーっ」

驚きのあまり、私は大きな声を出してしまった。

「ごめん。驚くよね」

「はい。でも、みんなは大丈夫でしたか?私と付き合ったなんて言ったら、反対されませんでしたか?」

「あはは、みんな喜んでくれたよ!」と稲葉さん。

「本当ですか?私に気を使ってそう言ってくれているんじゃないですか?」

「そんな考え過ぎだよ。みんな高校の時からの付き合いだから、そんな風に思うやつ1人もいないから安心して」

「あー良かった」

「みんなに言ったって言ったら、優希が怒るんじゃないかって少し不安だったよ」と笑う拓斗。

「そんな怒りはしませんよーでも何か嬉しいです」

「それなら良かった。それでね、今度紹介しろってうるさくてさー」

「えっ、私を…?」
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